随書作主(20)

珠光方寸庵

仁 恕

とくとくと 水まねかば来ませ 初茶湯 素堂  

 悠揚な平和と幸慶な新世紀を希い、喜悦の春を心から御祝詞申し上げます。  

◎年賀の客を迎えるため、また茶家自体も改まった新年を希い賀客迎にあたる三ヶ日の席の装いは、あくまでも粛々として崇高で清浄を第一義とする。先づ床の間は日本建築の中枢神経である。茶室は焦点といわれる正月の掛物は吉祥的で典雅なものが用いられる。
 日出乾坤輝 春山福海 一日清閑一日福 無事是貴人 海開酒国春 など平凡乍ら初春にふさわしい語句が好まれる。

◎霞引、打曇、飛雲など美しい下絵の懐紙に認められた。新春の和歌など本表装もので上品で床映りがいい。和漢朗詠集を初め、古今集その他の古筆切の台帳幅もよし。これらは台目幅(一畳の4分の3)以上の床の間であるが半間以下となると元旦や神代の事も思はるゝなど短冊の台帳幅とか小品物がよくうつる。更に壁材の侘びになると日付のある消息とか詠草の横物など紙表紙が楽しめる。

◎待合掛はその季の絵画幅が常。ここは御題とか干支に因む扇手、色紙、短冊の類となる。但し掛物には輪飾りを掛けるのが仕来り。花入は古銅の象耳や龍耳がよし。時に古銅ゾロリの花入に椿の一輪もうれしい。内朱のゾロリ盆に載せれば万丈の気を吐く。砂張りの釣舟も宝舟として応用が出来る。

◎青磁鳳凰耳、福寿の文字入れも高雅、染付の松竹梅、高砂なども気品のある花入。古備前や朝鮮唐津もよいが正月以外に使い途のあるものは次への楽しみ。然し備前緋襷鶴首の花入などを床板に直に置くのも粋なり。また無難なものは竹花入、古竹も新竹もよし。但し銘の選択を誤らぬ ように。茶の湯の世界では若松に水引きを掛けた流儀花は席中に入れない習慣となっていることを心得ておくとよい。
 大福や けふはきのふの  初昔
◎正月は床の間、乃至は席の楊枝柱に結柳を掛ける。付書院のある席はカリロク(謌梨勒)を釣ることもある。料紙硯箱や置物を広間ならは荘ってよい。
◎台子、高麗卓、その他の棚物には注連をかけること。……三ヶ日の茶は大福茶の延長と解釈され、茶が終わってその席や別 席で屠蘇なり年酒を汲むがならわし。

船橋市民新聞 2001年 1/1発行 第27号


copyright(C)2000 iiwanet web magazine. All rights reserved