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万が一に備えて 田久保 裕一(指揮者) |
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9月に東海地方を大雨が襲った時、偶然にも私は名古屋に居合わせた。十一日の月曜日の朝に移動したので、運良く新幹線は三十分遅れ程度で済んだが、もしもう少し遅い列車に乗車していたら、その日のうちにたどり着くことはなかったろう。 東海地方ではほとんどの交通機関が麻痺。名古屋駅地下は家に帰れない乗客で溢れかえった。ホテルの部屋で一晩中テレビをつけっぱなしで大雨情報と被害状況を見入っていた私は、被災された市民の安否を案じながらも、災害に対する公共機関の対応の遅さに憤りを感じていた。 新幹線は七十四本、5万人もの乗客が駅間やホームで夜を明かしたというから、十分な食料や飲料水もなく、苦痛の時間を余儀なくされた乗客の状況は察するに余りある。東京駅発車を早期に見送ったり、立ち往生した車内の乗客は最寄の駅にピストン輸送を施したり、東京に引き返すなどの万全な対策をとることはできたはずだと思う。 今年に入って3月の地下鉄日比谷線の脱線事故、北海道有珠山噴火、そして三宅島の噴火と大きな災害が続いている。火山の噴火は天災としても、地下鉄の事故は明らかに安全対策への油断が招いたものだ。今回の大雨による災害はどうだろうか。確かに予想を越えるほどの大雨にみまわれたのは事実だが、天災だから仕方ないでは済まされないだろう。大雨の見通しが各機関であまりにも甘かったのではないだろうか。地下への水のはけ口が舗装道路が広がったことによって封鎖されたために起こるこのような都市型災害は、いつでも起こりうる。 異常気象、集中豪雨の災害が世界各地から報道される中、今後もっと危機管理に対する敏感な対応が求められるだろう。私たちも「万が一」のときの備えをしておかなければならない。平穏な日々が続くと危機管理意識は薄れるものだから。今後は堤防の強化、下水道や舗装道路の改善などが急がれる課題だ。災害が起きてから対策を考えていたのでは手遅れ。公共事業の見直しと騒がれている昨今だが、こうした災害の復旧や整備に、多額の税金を投入したとしても国民の反発をかうことはないだろう。 今回の豪雨で私の知り合いの家も床上浸水にあい、ピアノはもとより大切な楽器も車も失ってしまった。被災された方々の精神的なダメージは計り知れない。三宅島同等、物心両面での継続的なケアを期待したい。 船橋市民新聞 10/1発行 第24号 |
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