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藝林文庫(8) 浜 旦(はまわたる) |
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氷や冷蔵庫の無い時代、江戸湾で取れた(江戸城の前 江戸前)鮨ダネは全て1〜2日は塩・酢・醤油等に漬けて処理された。(明治近くから行われたマグロは今でも″漬け″と呼ぶ)ショウガ、ワサビも防腐の知恵だった。 初期のタネはコハダ、アナゴ、キス、ヒラメ、タイ、エビ(そぼろ)、サバ、シラウオ、タコ、イカ他で赤身はなかった。卵焼き、アワビ、カンピョウ・ノリ巻き、と煮たり焼いたりしたものもあった。 鮨は食事というより空いた小腹の間に合わせ用スナックだった。朝作り箱詰めしてぶら下げたり、背負ったり、天秤棒の前後に大箱で吊し、それが屋台化する。立売り・立食いは素手。握りが板(飯)台に並びつままれた。味拵えされつけ醤油はなかった。志賀直哉の「小僧の神様」にも出る。屋台は住家に出窓風に固定されやがて内店となる。 一日用保存食の鮨は花見や芝居見物にも供された。重箱や桶詰め、徳利やきれいどころ、そして幔幕は浮世絵にも描かれ、風俗資料に残る。 花見に鮨の重箱と言うが、先出の通りタネは完全に処理されたため屋外、真昼の陽光下でも無事だった。今のような生ダネは製氷〜冷蔵庫の普及まで到底考えられなかった。 奈良期、近江国で長期間仕込まれたフナの熟れ鮨から大阪鮨を経て、気短な江戸っ子から生まれた握りは、現在、刺し身鮨(?)が全盛である。回転鮨も既に20年余になる。 ※鮨=″魚が旨い″ではない。″魚の塩から″のこと。ちなみに肉の塩からは″醢(かい)″。 船橋市民新聞 9/1発行 第23号 |
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